ちこういん

成人式

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以前は小正月の15日でした。。
昔でいう元服、大人の仲間入りです。
 
西郷隆盛が尊敬した人物に橋本佐内がいます。
天保5年、福井の医者の家に生まれ、16歳で全国の優秀な青年が集まる緒方洪庵の適塾に学び、20歳にして福井藩の藩校の責任者を務めます。
藩主の側近としては、藩政や教育改革に当たり、国の政治にかかわり、全国を飛び回りますが、安政の大獄で26歳で処刑されてしまいました。
 
橋本佐内は子供の頃に自分のことをこのように語っていました。
「自分は何をしてもおろそかで、注意が行き届かず、しかも弱々しくてぬるい性格であるため、いくら勉強しても進歩がないように思う。
これではとても父母の思いに応え、藩や主君のお役に立ち、祖先の名を輝かすような人間になれるはずもない。
一体自分はどうしてこんなに駄目なんだろう。
そう思うと情けなくてたまらず、毎晩涙で布団を濡らした・・・」
 
深く自分を恥じた佐内は15歳の時、決意を固めます。
そしてこの時に書き上げたのが「稚心を去れ」「気を振え」「志を立てる」「学に勉める」「交友を選ぶ」からなる『啓発録』です。
 
 
『啓発録』
 
第一に稚心(ちしん)を去れ
稚心とはおさなごころということにて、俗にいう童(わらび)しことなり
 
反省や工夫、努力もないのに、勉強が急に出来るようになったり、競争に勝てたり、夢がかなえられたりすることは、ありません。自分とその運命を変えようと思うなら、自分の「子供っぽい心」を捨て去ることが大事です。
 
人の中にある稚心とは、遊びを好む心、お菓子などを欲しがる心、親の眼を盗んでは仕事や勉強をさぼり、困ったことがあればすぐ父母に頼ろうとする心、また、父や兄の厳しい指導を恐れ母の膝元に隠れようとする心などです。
 
 
第二に「振気」
気を振(ふる)う
 
気とは人に負けない心を立てることであり、恥ずかしいことを無念に思うことから生まれる意気込みのことです。
負けてたまるか、くじけてなるものかという負けじ魂こそが人を変えるエネルギーになるのです。
 
 
第三に「立志」
志を立つ
 
志のないものは魂のないものと同じで、いつまでたっても成長することはありません。
そして、どれだけ目標を高く掲げても、あくまで地道な努力が大切です。
志を立てた者とは、行きを決めた旅人のようなもの。朝のうちに出発すれば、明日はどこ、あさってはどこ、という具合に次第に目的地に近づいて行く。どれほど才能が劣っている者であっても、このように努力を続けていけば到着しないということはないのです。
 
 
第四に「勉学」
学に勉む
 
学ぶ、ということは習うということに等しく、素晴らしい人物の良い行いを手本として慕い、その人の生き方に劣らないように努めることこそ何より大切な学問です。
 
勉強とは、単にいい成績をとることでも、暗記した知識をひけらかすことでもありません。そのような考えは、勉学の意味を誤解していて、人は「自分自身」のために生きるというより、もっと大きな「なにものか」のために生きてこそ真の生き甲斐に巡り会えるものです。
 
 
第五に「友を選べ」
交友を選ぶ
 
友達には「損友」と「益友」という二つの種類があるので、その違いをよくみて選ぶことが必要です。
友人の中に「損友」がいたら自分でその人を正しい方向へ向けてやらなければならない。「益友」がいたら、自分の方から声をかけて、どんなことでも相談していつも兄弟のようにつきあうべきです。
 
私たちの周りには多くの友がいます。しかし、一緒に遊んだり同じ趣味を持つ友人はたくさんいても、自分を高めてくれ、心から尊敬でき、何かあった時に、真剣に心配してくれる友達がどれほどいるのでしょうか。そういう友を「益友」と呼び、そのような友人を、何においても大切にするべきであると言っています。
 
以上
 
この五つの大切なことについて書かれた『啓発録』。
橋本佐内15歳が、成人とは何かを教えています。

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