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お坊さんの健康法

お坊さんの健康法
古今の名僧・高僧といわれた人たちは健康に恵まれ、長寿の人が多い。
そうしたお坊さんの長寿の秘訣、強い生命力はどこから生まれたか。
食事の仕方一つに仏の教えがあるのでは。
私たち現代人は、そのことをおろそかにしていないか。
食とは単に生きるためでなく、生き方につながるもの。
お坊さんの暮らし方に学び、取り入れてみてはいかがでしょうか。
 
六つの効用 歩く・坐禅・読経・食事…高僧が説く心身の鍛錬フォームの始まり

10人のお坊さんの健康法を紹介します。ひと言でいえば、「健康」に努めた人たちと言えます。

大西良慶和上(元清水寺貫主)は、108歳の天寿。直弟子によれば「若い頃からよく足を使われたこと」とのこと。
山田無文老師は、自ら坐禅によって病気を克服し、常々に「坐禅の効用」を説き88歳の長寿であった。
山田惠諦師(元天台座主)は100歳まであと一歩。若い頃、よく山道を歩いた人だったと。
松原泰道師(「南無の会」会長)は、101歳の天寿。
「時間管理が自己管理になり、健康管理にもなります」と言われています。
江戸時代の禅僧・白隠禅師は、『気海丹田呼吸法』を唱え、『夜船閑話』という養生法を書いた。
鎌倉時代の栄西禅師は『喫茶養生記』を著し、茶による養生法を説いた。

天海僧正は108歳まで生き、徳川家康から3代の将軍に仕えた。
安井玉峰師(佛母寺住職)、河野慈光師(慈光寺住職)の2人の尼僧は、自らの病気を克服すると共に、読経の効用を説き、「少欲知足と簡素」の生活をすすめている。

松野宗純師(地蔵院住職)は、定年後出家して「心の鍛錬」を説いている。

これらお坊さんたちの健康法の6つの共通点

【足腰を鍛えて日々前向きに】


1.足腰の鍛錬、特に歩くこと
大西良慶和上は10代の頃、草履ばきで奈良と京都の間を徒歩でたびたび往来したという。また、若い頃の修行として奈良の山中で、1日1食、坐睡しながら滝行や回峰行を繰り返すという荒行を3年間も続けた。晩年になって布教に出る時も、京都駅と清水寺の往復にタクシーを使わず、徒歩で通したという。
山田惠諦元天台座主も若い頃、比叡山の登り下りでよく歩いた。今のようにドライブウェーもロープウェーもない時代だから、麓の坂本から横川の元三大師堂まで、約7キロの山道を、ある時は米や野菜、ローソク、油などの荷を背負って、お経を唱えながら歩いた。
天海僧正も、幕府と朝廷の調整役として、江戸と京都の間をよく歩いた。このように、かつての仏教者は歩くことによって、心身を鍛える修行をし、信仰心を高め、前向きに生きる姿勢を養っていた。近年、歩くことは通常時の三倍の酸素摂取量があり、新陳代謝につながり、健康に良いことが知られている。

2.坐禅と読経の効用
「馴れないうちはいやかも知れん。つらいかも知れん。けれども1日1度は、たとえ五分でも坐ってみてほしい。必ず心が清らかに澄みきる。毎日実行して頂きたい。必ず、体も健康になり、精神もさわやかになっていく」と“坐禅の効用”を説いたのは山田無文老師
山田座主は毎朝四時頃に起き、自坊のお内仏で2時間以上のお勤めをする。姿勢を正して、大きな声でお経を唱える。それは自然と坐禅の呼吸法にもなっている。

読経の効用は、松野師河野師も、安井師も述べるところである。
白隠禅師が説く『気海丹田呼吸法』は、吸う息を短くし、吐く息を長くして、深く静かに下腹部で呼吸する法である。

白隠禅師の養生法は現代人にも読まれている。

【無理・無駄・無精をしない】


3.少欲知足と簡素の生活
松原泰道師の“心の杖言葉”は、「無理をしない、無駄をしない、無精をしない」無理をしないは「道理」にはずれたことをしない。無駄をしないは、浪費だけではなく、積極的に時間も物も生かして使うこと。無精をしないは、精を出すこと、自分のことは自分ですることだという。

安井玉峰師は“落飾”という言葉で「人間の欲望には際限がない。けれども、無駄を省き、余剰のものを落とし、欲を少なくすれば小さいことにも満足でき、感謝の念が湧き、ゆったりした気持ちで日々が暮らせる」と語る。


4.自然との共生
人間は環境に左右されやすい。かつての仏教者たちは水や空気がきれいで、森や山に囲まれた自然と共生する住環境にあったことも健康につながっていた。栄西禅師『喫茶養生記』「お茶というものは人間の命を養う仏薬であり、長寿の秘訣である。しかも、山や谷に茶の木が生えていれば、その地は極めて神霊の地となり、人がこれを採って飲めば、その人の命は大変に長らえる」と書きしるしている。“森林浴”という言葉にも表れている。

【感謝を忘れずいのちを尊ぶ】


5.食事と感謝の精神
長寿のお坊さんは、おおむね“粗食主義者”です。

大西和上は、例えば、お粥のなべが空になると、そこにお湯を入れて、一切れの漬物でよくかき回して、そのお湯を飲みながら、「勿体ない」が口癖だった。

山田無文老師「草ばっかり食っている牛でさえ、あんな栄養価の高い牛乳を出すではないか」が口癖で、粗食に甘んじていた。
禅宗の僧堂では、修行僧たちは食前に『五観の偈』を唱える。

その第一は「今この頂く食事に関わりのある全ての人々の苦労と、自然の恵みと、植物の生命の尊さを心に思い、全てのものに感謝します」と唱える。食事と感謝は切っても切れない関係にあり、感謝の精神から“いのち”の大切さも学べる。

6.心の鍛錬で、ストレス解消
天海僧正は、「今日は今日のこと。明日のことまで思い患うな」といい、喜怒哀楽を抑える心の鍛錬を3代将軍家光に伝授した。

山田座主「一笑一少、一怒一老」という言葉で、健康法を説いた。

今、情報社会の中でストレスをため、人間関係に悩み、身体以上に精神的に病んでいる人が多い。その精神を安定させるためにも、白隠禅師『気海丹田呼吸法』をすすめる。呼吸法によって感情をコントロールできれば、喜怒哀楽が抑えられ精神が安定する。 

以上の事柄をまとめてみる。


日々の暮らしの中に坐禅などで自分を見つめる時間をつくること。歩くことをはじめ、体によいことを繰り返すこと。そして、笑顔を忘れず、すべてに感謝できる心を持つこと。生活の仕方をシンプルにすること。

私たちの健康法は、身近なところにあるのではないでしょうか。

 
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