ちこういん

怒りは無謀に始まり、後悔に終わる

怒り
 



私たちは、欲が妨げられるとカッと腹が立ちます。
仏教では、一瞬で燃え上がる怒りの心を瞋恚(しんに)と言います。
身を滅ぼす三毒煩悩の一つ。地獄の心です。
 
「瞋恚は善悪に通ずる者なり」とも言いますが、
正義が踏みにじられた時の怒りを義憤(ぎふん)と言います。
しかし、私たちの心を見つめますと、自分の欲が妨げられたときに怒ることが多いものです。
 
遠い国のテロ事件で、沢山の命が奪われているニュースに怒りを感じることより、会社での同僚のミスで損出し、自分の業績に傷つく方が、怒りがこみ上げるものです。
 
どんなに、増税の意義を説明されても、いざ、実施となると腹が立ったりと、私たちは理屈で動いているように思っていますが、そうではなく、欲や怒りや愚痴の煩悩に動かされていると、お釈迦さまは教えます。
 
 
怒りの感情は放っておくと、どんどん育っていき、仕事・家庭・友人・信頼を失い、幸せになることができません。
 
仏教は怒りを分類して、よく観察し、怒りを撃退すること。
行いによって、心を育てなさいとお釈迦さまは教えています。
 
 
仏教の怒りの種類
【パーリー語】(お釈迦様の時代に使われていた古い言葉)
 
1.基本的な怒り【Dosa】(ドーサ)
「いやだ」と感じる暗い気分の怒りすべてです。
「つまらない」「退屈」などの気分も含まれます。
 
2.増悪【Vera】(ヴェーラ)
(ドーサ)が強くなって、外見にあらわれるほど高まった状態です。
(ドーサ)を放置しておいたために心が暗さを増し、歯ぎしりをしたり手が震えたりなど、体の状態に影響を与えるまで、怒りが育ったものです。 
 
3.恨み【Upanāha】(ウパナーハ)
(ドーサ)が芽生えた後、それを繰り返し思い出すことによって増幅されてしまった怒りのことです。特徴は「忘れがたい」ということで、妄想がふくらみ、いつも不幸な状態になってしまうのです。
 
4.軽視【Makkaha】(マッカ)
人のよいところを軽視する感情です。
人を見たとき、その悪いところや弱点をみたいという気持ちから、その人が長所や能力をもっていて、「大いたことない」と思いたいのにできないとき、強い怒りが生まれます。
 
5.張り合い【Pālasa】(パラーサ)
戦いつづけること、相手をつぶそうとし続けることです。
相手に対して「勝ちたい」と感じる程度から、「相手をつぶしたい」という気持ちが度を超えて、いくら攻撃してもおさまらない怒りとなります。
 
6.嫉妬【Issā】(イッサー)
相手の悪いところを見たいという暗い気持ち。(ドーサ)を抱いたときに相手のよいところが見えてしまうときに生じます。
相手の長所が見えるときの怒りが、相手に向かうと(マッカ:軽視)ですが、「なぜ私にあんな長所がないのか」と自分に向かうと(イッサー:嫉妬)になります。
比べる相手は無数にいるので、(イッサー)も増幅します。
 
7.物惜しみ【Macchariya】(マッチャリヤ)
自分が持っている幸せや楽しみを人に分けてあげたくないという感情です。
人が自分と楽しみを分かちあうと損をしたように思うケチな気持ちです。
他人と喜びを共有できないため、心が暗くなり不幸になるのですが、その不幸に気がつかず幸せを独占しようとするのです。
 
8.反抗心【Dubbaca】(ドゥッパチャ)
自我が強くて、人の忠告や教えに対して反発をもつ感情です。
他人や世間とのコミュニケーションを拒絶している状態で、常に嫌な思いをします。そして、忠告や教えを聞き入れられないので人間としての成長も止まってしまう、恐ろしい怒りです。
 
9.後悔【Kukkucca】(クックッチャ)
後悔です。
これは過去に失敗した経験を思い出したときに自分に向かって抱く怒りです。
いやな気分を何度も繰り返してしまい、明るい思考ができなくなります。
心が過去にとらわれてしまうので、前に進めなくなり、成長が止まってしまう、たちの悪い怒りです。
 
10.激怒【Byāpāda】(ビャーパーダ)
(ドーサ)そのものが単独で成長し、度を超えた状態です。

壊したい、他人を不幸にしたいという気持ちですが、はっきりとした理由がありません。そのため、妄想が無限にふくらみ「どこまでも破壊してやる」とキリもなく考えます。殺戮(さつりく)につながる感情です。
こころが魔物に入られた状態です。

 
 
育ってきた環境や、前世の業、悪霊、魔物などの様々な原因があります。
知らず知らず自分の心の中の様々な怒りの感情が、人生を悪いほうへ悪いほうへと進めていきます。
 
皆さんも、自分に嫌なことばかり起こると思ったら、自分のこころをよく観察してみてはいかがでしょうか。
 
怒りは後悔と破滅への道です。


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