ちこういん

心配や不安も過ぎると

心配症
 

お釈迦さまのむかし話。

昔、うさぎが一匹いました。

このうさぎ、普段から、心配することばかりの臆病者で、毎日、不安な生活を送っていたのです。
「日照りが続いて、食べるものが無くなったらどうしょう」
「寝ているときに木が倒れてきたらどうしょう」
「ピョンピョンと飛んでるうちに足が折れたらどうしょう」
心配することは、かぎり無くありました。

そんな心配をしながらも、野うさぎなので、のんびりと昼寝をしていました。
森の中の昼下がり、若葉の光、動物たちの憩いのときです。

その日も、
「もし、この地面が割れて世界が壊れたら、どこに逃げれば良いだろう?」

と、心配しながら、うとうとと昼寝をしていたのですが。

突然、近くの森で『ドッスーン!』と何かが音をたてて落ちました。
大きな音がしたので、心臓が飛び出るくらいに驚いたのでした。

うさぎはあわてて、
「たっ大変だーっ!地面が割れたーっ。世界が壊れるーっ!」

と叫びながら逃げ出しました。

周りには仲間のうさぎがいました。
「どうしたんだい、そんなにあわてて」

と一匹のうさぎが尋ねました。
「大変なんだよ。地面が割れて世界が壊れるんだ!」

とあわてもののうさぎが答えると、
「何だって!それは本当か!」
とみんなビックリ。

半信半疑ながらも、みんな走り出してしまいました。

その近くの草原に鹿がいました。
うさぎ達が走っているのを見て、その理由を聞きました。
「それは大変!」

と理由を聞いた鹿達も気がつけば一緒に走り出していました。

うさぎと鹿が必死になって走っている姿を見た、牛、トラ、サイ、ネズミ、その他大勢の動物達は

「何があったんだろう?あんなにあわてて・・」
と隣のトラに聞くと、
「ワシは何も知らんが・・、でもこれは大変な事に違いないぞ!」
とみんな一斉に走り出しました。


「みんな逃げろー、逃げろー!大地が割れるぞー!」

と誰彼ともなく叫び出し、今や大パニックとなってしまいました。

大変なことに動物たちのゆく手には断崖絶壁。
その向こうには荒海。
 
動物たちは、今や理由もわからずパニックとなり、ただただ海に向かって暴走していました。
 
そんな動物たちの姿を見ていたのが森の王様〔ライオン〕でした。

ライオンはふだんから何事も落ちついて考えるようにしていました。
王様は、家来のサルに聞きました。
「いったい、何が起こったのだ!」
すると、

サルは、

「はい、王様。大地が裂けているそうです。それで皆、逃げ出しているのです」と答えました。

ライオンは
「何だと、大地が裂ける?・・とはいえ、あのまま進めば皆、崖から荒海に落ちて死んでしまうぞ・・。これは止めねば!」

と言って、急いで動物たちの後を追いかけました。

「おーい、待て待て!みんな慌てるな!このまま進めば、皆崖から落ちて死んでしまうぞ!」

と王様のライオンは、みんなを止めました。


「でっ、でも王様、大地が裂け始めているのです。急がねば!」

とトラが言うと、
 

ライオンは、
「では聞こう。この中の誰なんじゃ?大地が裂けているのを見たというものは?」

と問うと、
 

トラは、
「はっはい、それは確かウシ君が・・見たとか。なぁそうだろう、ウシ君?」

と言うと、


ウシは

「いいえ、私はシカ君に、そう聞いたので」
と答えました。


そしてシカは、それをうさぎ達に聞いたと答えました。

ライオンは

「では聞こう。お前たちうさぎの中で、大地が裂けるのを見たものはおるか?」と言うと・・、
「はい、」

と一匹のうさぎが返事をしました。


そして、ピョンと前に出てきて

「王様、私が『ドッカーン!』という大地が裂ける音を、この耳で聞いたのでございます」

と答えた。

ライオンは
「では、その場所に案内しておくれ」

と言い、うさぎを先頭に動物たちは皆ゾロゾロとついて行きました。

「確かこの辺でございます」

と、うさぎ、元居た場所に着きました。

ライオンは
「それにしても、地割れの後が無いぞ」
とライオンは辺りを見回し、・・そして突然笑い出した。


「ワッハハハッ!うさぎが聞いたのはコレが落ちた音だったのだろう」

そこには、大きな大きな〔ヤシの実〕が、三個ばかりゴロリと転がっていました。


そしてライオンはみんなに言いました。
「みんな、良く聞きなさい。うさぎが聞いたのは、この〔ヤシの実〕が落ちた音だったのだ。皆、訳もわからぬ事に慌てて、心を動かすようではダメだ。正しく見聞きして話さなければダメだ。もう少しで皆は、荒海に落ちて命を失うところだったのだぞ。どんな事があっても、心をグラつかせないような訓練をせねばいけないな!」

と話しました。

うさぎも恥ずかしそうに、

「あわてているときこそ落ちついて考えることが大切なんだ」
と、小さくなって聞いていたとさ。

 
おしまい
 
これは、お釈迦さまの前世が[ライオンの王]であった時のお話です。
 
不安やパニック、臆病というものは、いつの時代も誰にでもあります。
心を強くするには、日々の積み重ねが大切です。
 
諸行無常。
すべては移り変わりゆくもの。
 
強い執着は、心配や不安を増幅させます。
スポンサーサイト



ちこういん
Posted byちこういん

Comments 2

There are no comments yet.

智弘院  

No title

> (-.-)さん
心配は大事。
その為に備えをしていくものです。
しかし、明日のこともわからないのが人生。
今、目の前のことを誠実に勤めること。
この積み重ねで、心は強くなっていき、心配も無くなっていきます。

2018/03/03 (Sat) 08:11

智弘院  

No title

> (-.-)さん
一歩一歩、ご自分の歩幅で進んでください。
神仏に正しく祈り、誠実に生きれば道は開きます。

2018/03/05 (Mon) 17:45

Leave a reply