ちこういん

運が悪いと思う人

お釈迦さまと、運が悪いと困っている人の話





昔むかし、ひとりの男が肩を落として

お釈迦さまのお寺にやって来ました

男は、お釈迦さまに言います
 
「どうして私はこうも運が悪いのでしょうか?
ほとほと生きてゆくのが嫌になってしまいました」と


お釈迦さまはお答えになります

 
「何があったか知らないが
仏の教えに〔運が良い〕とか〔悪い〕というものはない
すべて《縁》によって生じるのだ」
 

と言われ、次のようなたとえ話をします


或る家に、光輝く美しい女性の旅人が訪ねて来た

家の主人が
「何の御用か?」
と尋ねると
 
女は
「私は《福の神》と申します
どうか一晩だけ泊めてください」
と言った

主人は快く迎え入れ、手厚くもてなした

しばらくすると、又ひとりの女性の旅人が訪ねて来た

彼女は自分を《貧乏神》だと名乗り

やはり一晩泊めて欲しいと言ったのだった

それを聞いて主人は
「今日は大切なお客様が来て下さっているのだ
お前なんか泊めるわけにはいかない
帰ってくれ!」

と言って、戸をあわてて閉めた


すると戸の外から、女の笑い声が聞こえてきた

 
「オホホホッ、あなたはなんておバカさんなんでしょう
その大切なお客さんというのは、私の姉の《福の神》でしょう
 
姉があなたの家に向かったので

私もあなたの所にやって来たのですよ

私達〔姉妹〕は常に一緒に行動しているのです
私を追い出せば、姉もいなくなりますよ」

と言った

まさか!と思って主人があわてて奥の部屋を開けてみると

すでに《福の神》は消えていた


お釈迦さまはこのお話をされた後

目の前の男に次のような話をされました
 


『生があれば死があり

幸いがあれば災いがある
人はこの事を知らなければならない
 
愚かな者は
ただイタズラに災いを嫌い、幸いだけを求めるが
 
道を求める者は、この二つを共に越えて
いずれにも執着してはならないのだ』と
 
 
 
人生は、心ひとつの置き所
楽は苦になり
苦は楽になる
 
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