ちこういん

前前前世

法華経の僧の前世のお話
       『今昔物語集』。
 
今となっては昔のこと、明蓮という僧がいました
幼くして親の家を離れて、法隆寺に住して

師に従って法華経を習い、日夜読誦していました

見ないでも読めるようになりたいと思って
第一巻から第七巻まで暗記することが出来ました
 
七巻までを一年の内に憶えましたが
長い歳月、来る日も来る日も読みますが
第八巻というと、少しも憶えられません
 
「自分の頭が悪いのなら
法華経の一巻から七巻まで覚えることは出来ないはず
頭が良ければ、八巻も憶えて読めるようになるはず
どうしても八巻だけ覚えられないのは
何か訳があるに違いない
仏神に起請してこのことを知ろう」
 
と言って、修行僧の明蓮は稲荷に参って、百日籠ります

一心に法華経を読み、日々祈願しましたが
そのしるしはありませんでした

 
長谷寺・金峰山にそれぞれ
一夏(夏の3ヶ月を室内に閉じ籠って修行すること)の間
籠って起請しましたが、そこでもしるしはありません
 
つぎに熊野に参って百日籠ってこのことを起請すると
夢で、熊野権現が
 
「私はこのことでは力が及ばない
すみやかに住吉明神に申し上げなさい」
 

とお告げがありました

明蓮は夢のお告げによってすぐに住吉に参って
百日籠って、このことを起請すると
夢で、明神が
 
「私もまたこのことを知らない
すみやかに伯耆大山に参って申し上げなさい」
 
とお告げがありました
 
明蓮は夢の告げによってすぐに伯耆の大山に参って
一夏の間、心を尽くして、このことを起請すると
夢で、大智明菩薩が告げておっしゃいます
 
「私が汝の本縁を説こう。疑うことなくよく信じよ
美作の国の人が食糧・米を牛に負わせて、この山に参って

牛を僧坊に繋ぎ置いて、飼い主は神殿に参った

その僧坊に法華の持者がいて
初夜(今の午後八時頃)から法華経を読誦する
第七巻に至るときに夜が明けた
牛は終夜、経を聞いたが、飼い主が帰ったので

第八巻を聞かずに、飼い主に従って本国に帰った

その牛はつまり汝の前世の身である
法華経を聞き奉ってたことによって
畜生になる報いを捨て
人の身を受けて僧となって法華経を誦する
 
第八巻を聞かなかったことによって
今生でその巻を憶えられないのだ
 
汝は、身口意の三業を調えて法華経を読誦すれば
来世に兜率天に生まれることを得るだろう」
 
と見て、夢から覚めました
 
その後、明蓮ははっきりと宿因を知って

心を一にして伯耆大山の権現に申し上げて言います

「愚かな牛が法華経を聞いて
畜生の苦果を離れて、人と生まれて
法華経を信仰する僧となる
人として仏説のごとく修行して得られる功徳は
いかほどであろうか

ただ仏のみがお知りになるのだろう
願わくは、私は、世々に諸尊を見奉り

その生きている間、生きている間、法華経を聞き奉って
常に怠ることなく修行してすみやかに無上の菩提を証せん」
 
この願いを起こして後、伯耆大山の権現に礼拝して帰り去りました
その後のことは知らないと語り伝えるとか
 
 
智弘院でも、毎日生き物がお経を聞いています
 
猫はリラックスして
蛇も出てくる
チョウやトンボ、蜂も飛んでいて
小鳥は一緒に囀る
蛙は毎日、墓石の文字にはさまって
何か考え込んでいる
 


来世は
人間に生まれ変わってくださいね
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